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経営者のための「メモの魔力」:『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』【第33号】

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こんにちは、週刊ブックレター編集部です。

本日ご紹介する書籍は、18万部を突破したロングセラー、
『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』の新版です。

初版は2010年、と少し前に書かれただけあって、
少し古い価値観に聞こえる箇所はあるものの、
・ピープルマネジメント
・会社のカルチャー醸成
・ナレッジマネジメント
といった領域において、終始鋭い指摘がなされています。

経営計画と言うと、多少厳めしい響きがあるため、
「どうせ企業のお偉いさんのための本でしょ?」
と思う方もいるかもしれません。

しかし本書は、平社員から社長まで、すべてのビジネスパーソンが、
日頃の仕事力を高めるのに役に立つ内容です。

ところで「経営計画」とはいったいなんでしょうか。
本書は冒頭で、以下のような定義をしています。

経営計画書は、会社の「ルールブック」です。
「車両を常にピカピカにする。雨の翌日は必ず洗車をする」
「クレームの報告、連絡を怠ったときには、1回で賞与を半額にし、
上司・当事者がかかった費用を負担する」
「部下を早く帰らせない幹部は評価を下げる」
「上司は毎月、部下とマンツーマンで飲みに行く」
「出張の日報が2日以内に提出されなければ、日当は支払わない」
など、守るべきルールや実行すべき方針を明文化しておけば、
誰が、いつ、どこで読んでもブレることがなく、
社員全員が「同じ方向に動く」ことができます。(p.16~17)

「何を当たり前のことを…」と思われた方もいるかもしれませんが、
実際の組織現場において、ましてや大人同士が集まったとき、
ルールというものはえてして、暗黙の了解や口頭伝達になってしまいがちです。

しかし、著者は”あえて”明文化することを強調しています

なぜならば、紙に書かないと人は約束を守らないからです。
逆に言えば、明文化し共有されたものは、広がり守られるということです。
著者はキリスト教があれだけ繁栄したのは、
聖書や絵画といった教典(=経営計画書)があったから、だと述べています。

同じように、本書では経営計画書を手帳サイズにし、
全社員に携帯させることを推奨しています。
そうすることで、経営計画が浸透するという考え方です。

立派な会社をつくるためには、方針や数字を明文化した道具が必要です。
その道具は、経営計画書にほかなりません。道具は、使われて価値があります。
どんなに優れた道具でも、いつも手にするところになければ、宝の持ち腐れです。

そこで私は、A4サイズから、常に持ち歩ける
「手帳サイズ(B6変型サイズ)」に変更しました。(p.48~49)

著者が師と仰いでいた経営コンサルタントの一倉定氏に、
このサイズ変更の旨を伝えたところ「お前は経営計画書を冒涜する気か」
と叱り飛ばされたというエピソードも紹介されて、笑みを誘います。

しかし、前述のように、著者は経営計画書は道具であると信じ、
作るだけで満足するのではなく、使うことを重視したかっため、
この判断は正しかったと考えています。

また経営計画を作るときには、
数字にすること」が何よりも大切だと著者は言っています。

経営計画書で大切なのは、数字です。
経営計画書の作成は、「目標の数字を決めること」からスタートします。

現在の売上が100なら、「方針続行」。
利益目標150なら、「人員・設備の増強」。
50なら、「人員・設備の半減」。
0なら「撤退」。

はじめに社長が数字を決定しなければ方針は決まりません。(p.98~99)

一般的に、実行の文化を作る上で、
数値で目標を管理することは、非常に重要でしょう。

中盤では、実際に会計指標と照らし合わせながら、
どのように経営目標を数値に落とし込んでいくか、解説しています。

本書は、今の時代ともすれば「ブラック企業」と
呼ばれてしまうであろう経営アドバイスも多く、
「刊行10年ともなるとずいぶん価値観が変わるものだな」
と思い知らされるところもありました。

しかし、会社が戦略を浸透・実行させていく上で、
どのように人をマネジメントしたらよいか
「経営計画」というコンセプトを通して、非常に明快な言葉で記載されています。

悩める経営者やマネージャーの仕事のヒントとなってくれるはずです。

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