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ビジネス名著オールインワン:『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』【第19号】

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こんにちは、週刊ブックレター編集部です。

最近は「~の本〇〇冊を1冊にまとめました」といったコンセプトで、
複数書籍のダイジェスト本が次々と刊行されています。

本書はなんとMBA(経営学修士)で「教養」とされている、
有名書籍を50冊を凝縮した、という非常に贅沢な響きのコンセプトです。

MBAコースに行くなら海外だと1,000万円以上、国内でも数百万はくだらない中、
1,680円(+税)の本で学生が学ぶ知識の一部を習得できるとしたら、大変お得な提案です。

本書で紹介されている本は、ビジネススクール界で名著とされ、
ロングセラーで売れ続けている有名書籍ばかりです。

経営を5つの力学から考える「5フォース分析」を提唱した
マイケル・ポーター教授の『競争の戦略』。

フィルムカメラがデジタルカメラに、そしてデジタルカメラはスマートフォンにと、
大企業の商品はなぜ、新興企業の「破壊的な新しい技術」によって、
その市場を塗り替えられてしまうのか、その仕組みを解明した
クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』。

血で血を洗う激しい競争のレッド・オーシャンから抜け出し、
競争のない未開拓市場を独占すべきだと説いた『ブルー・オーシャン戦略』。

インターネット経済において、デジタルデータはすべて無料に近づいていくとし、
国内外のたくさんのビジネスモデルに影響を与え、
「フリーミアム」「ロングテール」といった言葉を作り出した『フリー』。

世界のビジネスの教養となっている書籍が粒ぞろいとなっています。

第1章 「戦略」
第2章 「顧客」とイノベーション
第3章 「起業」と「新規事業」
第4章 「マーケティング」
第5章 「リーダーシップ」と「組織」
第6章 「人」 (目次より)

また上記のようにジャンルごとの6章立てになっており、
読みたい本を探すためのブックガイドとして優秀です。

さて、著者である永井孝尚さんは、日本IBMでマーケティングマネージャーを務め、
独立後は「永井塾」にて経営戦略やマーケティングの面白さを伝えている人物です。

本書はセンセーショナルな書き出しからスタートします。

多くの日本のビジネスパーソンは、圧倒的に勉強不足である。

こう言うと反発が大きいだろう。世の中の常識は「日本人は勤勉」。でもこれは違う。
私はIBMで海外ビジネスパーソンと仕事する機会が多かった。
ビジネススキルこそ武器と考える彼らは、普通にMBA(経営学修士)を得ている。
経営理論は「読み書き算盤」であり、仕事の基本スキルだ。
「これはあの○○理論に基づいた戦略だ」と言うと、すぐに通じた。
そしてセオリーに沿って、現実に即した戦略を合理的に議論した。
日本国内では、これが通じない。経営戦略は「机上の空論」。
現実の仕事では役に立たないと思われて、体系的に学ぶ人が少ない。
いまだに、海外留学を終えたMBA修了生に「MBAの垢を落としてこい」と
ドブ板営業させる会社もあるくらいだ。(p.3)

実際に海外のホワイトカラーと呼ばれる人たちは、
当たり前のようにMBAを持っていて、就職やキャリアアップで
前提としている会社も多い、と一般的に言われるところです。
著者は、「セオリー軽視」の日本のビジネス現場に異を唱えています。

肝心の内容ですが、とてもよくできています。

1980~2010年頃アメリカで刊行された書籍が多いため、
出てくる企業名が「ザッポス」「トヨタ」「ソニー」「富士フィルム」
「ボーイング」「ペプシ」といった最近のビジネス評論では、
分析対象とされない会社も多く載っている点はありますが、
現代日本人にとってもわかりやすい語り口で、面白く読めるように工夫されています。

また戦略論やマネジメント論など抽象度が高く、
大企業での新規事業を想定した書籍だけでなく、
当サイトが想定している「起業したい人」「副業をしたい人」にも
直接的に役立つ書籍も複数載っています。

ネットプロモータースコア(NPS)による満足度調査を提案する『ネット・プロモーター経営』、
行動経済学や心理学をウェブコピーやデザインに活かせる『影響力の武器』『予想どおりに不合理』、
コンテンツマーケティングの流れがわかる『フリー』や『パーミッション・マーケティング』、
などの書籍は、スモールビジネスにも実用的です。

本書で紹介されている名著群は、昨今の移り変わりが速い書店新刊コーナーでも、
時代の試練を耐えて、生き残ってきた書籍です。
小手先の手法は移り変われども、ビジネスの本質的な知識は陳腐化しないと言えます。

現場で使える教養として、MBAの世界を覗く窓口として、
興味のある書籍を注文するブックカタログとして、
用途はさまざまですが、ぜひご活用ください。

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