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ビジネスの地図帳:『東京エリア戦略 ビジネスの勝敗は商圏で決まる』【第20号】

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こんにちは、週刊ブックレター編集部です。

本日の書籍は、店舗や不動産を構える首都圏の読者であれば、
心を奪われてしまう魅力的なタイトルと表紙になっています。

その名も「東京エリア戦略」と題し、
大手飲食チェーン、コンビニ、スーパー、投資ファンドや学習塾など、
さまざまな業界のクライアントの出店戦略を手伝っている著者が、
東京の各エリアに張り巡らされているビジネス戦略を、
独自の着眼点から解説している、非常にユニークな書籍です。
まさに「ビジネスの地図帳」とも言い換えられます。

今どんなエリアが熱いのか、エリアを読むことで何がわかるのか、
といった”プロの視点”を垣間見ることができます。

第1章では変化のときを迎えているエリア戦略の現状をお伝えし、
第2章では新しいビジネスモデルとエリア戦略の関連性を解説します。
エリア戦略ではそれだけでビジネスの勝敗が決まる側面ももちろんありますが、
もっと面白いのはエリア戦略とビジネスモデルを掛け合わせて考えることです。(中略)
第3章ではエリア戦略の観点から変化し続ける東京23区の解剖を試み、
第4章では変化球のエリア戦略で成功している事例を紹介、
第5章ではブームとエリアの意外なつながりをお伝えしていきます。(p.5)

本書では、「商圏」という考え方を紹介しています。
商圏は「消費者の生活圏、行動範囲」、
「その街の人口量や使われている金額など、数値データで表現できるもの」であり、
「その具体的な内容は、人口量やそこで使われている金額、年齢や世帯の構成」など、
で表現されます。

抽象的な説明ですが、例えば「日本」という商圏は「1億3000万人」です。
東京は「居住人口1400万人」の商圏であり、表参道を含めた「青山周辺」は、
「昼間人口の女性比率が47%」の商圏だと言えます。
一般的な企業が言うところの「市場規模」といった考え方に近いでしょう。

まず最初に紹介される「エリア戦略」の実例として、
セブンイレブンとスターバックスの出店戦略の違いです。

江戸川区や足立区、練馬区、あるいは八王子市や国立市など、
いわゆる「郊外」は夜間人口が多いと言われています。
都内に集中するオフィスから帰って寝る場所だからです。

逆に昼夜人口が多いのは、千代田区や港区、渋谷区です。
アーバンエリアのイメージがありますが、
実際にオフィスが都心部に集中しており、
昼時は労働人口が流れ込むため、昼夜人口が増えると言えます。

そして、セブンイレブンとスターバックスは、
それぞれ真逆の人口(昼夜人口 or 夜間人口)層を重視しています。

さてどちらがどちらかと言えば、恐らく読者の方もイメージいただけるように、
セブンイレブンは夜間人口を重視し、スターバックスは昼間人口を意識しています。
たしかにセブンイレブンは郊外にあり、スターバックスはオフィスエリアにある印象です。
このような企業の店舗展開戦略の背後にあるのが、著者の言う「エリア戦略」なのです。

セブンイレブンは、いわゆるベッドタウンのイメージがある郊外にたくさん出店しており、
渋谷や新宿、品川といったエリアには意外にも店が少ない印象があります。

なぜそのような展開を行うのかと言えば、
人がコンビニに行ってお金落とすシーンは夜が多いから
(例えば「帰り道に夕食買う」など)です。

逆にスターバックスは、郊外に出店せず、
渋谷、丸の内、代官山、品川や横浜、などの昼間に人が集中するアーバンエリアに展開しています。
この展開にもきちんとした戦略があり、

スターバックスが多く出店しているのは、
千代田区(45店舗)、港区(40店舗)、渋谷区(38店舗)、
新宿区(31店舗)、中央区(23店舗)など、人口が多いだけではなく、
青山や麻布、六本木、丸の内や渋谷、代官山など、
スターバックスのドリンクを手に持って歩くと格好がつくような場所を
選んで出店しているのです。(p.26)

このように街のイメージとブランドがマッチしたエリアを選ぶことで、
スターバックスの「洗練されたイメージ」を打ち出そうとしているのかもしれません。

このように、今まで見てきた東京の街に
新たな視点と発見を与えてくれる情報が盛りだくさんです。

すべてをご紹介することはできないため、週刊ブックレター編集部が、
特に面白いと思った部分を、一部ピックアップしていきましょう。

たい焼き店にどういう理由で訪れるかというと、「たまたま」だったり、
「店があったら行く」など、多くの人が特に高いモチベーションを持って
買いに来ていないことが判明したのです。(p.90)

→改めて考えてみれば、単にあんこを生地でくるみ、
鯛の形にしただけなので、代替の食べ物はたくさんあります。
目的買いするような商品ではなく、エンタメを買っているのかもしれません。
そのため、ふらっと立ち寄れる街角で繁盛しているのかもしれません。

タピオカドリンク店も、小さなスペースで出店していますが、
たい焼き店などと少し違う点があります。
写真を撮ってSNSにアップできるような内装や
ドリンクの見た目を意識している点です。(p.91)

→タピオカブームの火付け役となったInstagramを意識しているのでしょう。

渋谷ストリームと渋谷駅は将来2階の高さで直結します。(中略)
さらに将来的には、渋谷ヒカリエとも2階の高さでつながり、
一帯がその高さで平面になるような気がしています。
坂道から平面立体へ、街の様子が大きく変わっていく可能性が高いのが今の渋谷エリアです。
何年も前から渋谷の街は「若者の街」から「大人の街」へと
生まれ変わろうとしていますが、全体としてはなかなかうまくいっていません。

→学生の街でありながら、ITやベンチャー企業の聖地でもある、
多様な顔を持つ渋谷ですが、近年はめまぐるしい再開発が進んでいます。
六本木ヒルズから渋谷へとGoogleが移転したことは、大きな衝撃がありました。

若い女性から火がついてブームになっていくとき、その発端はたいてい原宿エリアから始まっています。
ポップコーンもパンケーキも、スタートは原宿エリアのお店に行列ができ、
それが話題となって広まっていきました。(p.210)

→ローラー族、シノラー、きゃりーぱみゅぱみゅといった、
若者のファッションやカルチャーの発信の地であると言われる原宿は、
”歩くコンサルタント”と呼ばれる著者の目から見ても、そのように感じるようです。

以上、一部を抜粋しながらご紹介しましたが、
これ以外にも興味深いエリアとビジネスの関係がたくさん明かされていました。

著者が書き記す”プロの目”を通して見回した街には、
思わぬ再発見や新しい視点が溢れています。
飲食店やスクール、小売り店を開業したい経営者だけでなく、
新規事業や商品展開、一般人の住居・不動産選びまで、
幅広いシチュエーションで読者にヒントを与えてくれるでしょう。

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