こんにちは、週刊ブックレター編集部です。
堀江貴文イノベーション大学、西野亮廣エンタメ研究所といった
「オンラインサロン」と呼ばれるインターネットコミュニティが盛り上がっています。
本書はそんなネット型コミュニティを誰でも立ち上げられるよう、
立上から拡大まで、ステップバイステップで解説している教科書です。
また芸能人やインフルエンサーといった求心力のある人物が主催となって
運営しているイメージがあるオンラインサロンですが、
「カリスマじゃなくてもできる!」と目線を下げているのも興味深い点です。
全8章構成になっており、
1.オンラインサロンとは何か?、2.コンセプトとビジョンを考える、
など概念的な話から、
5.オンラインサロンの会員募集、6.オンラインサロンの運営手順、
8.オンラインサロンの月会費以外の売上をつくる、
など実務的・経営的な話にまで、多岐にわたります。
2chやmixi、モバゲーやグリーといったように、
インターネット上でのコミュニティは真新しいものではありませんが、
なぜ「オンラインサロン」と呼ばれるコミュニティが
改めて注目されているのでしょうか。
そのヒントはp.18~24の解説にあります。
参加者が得られる4つのメリット
メリット1:環境を変えられる
メリット2:学びがある
メリット3:安心できる心のよりどころ、居場所がある
メリット4:情報選択の手間を減らしてくれる
(p.18~19より一部抜粋)オンラインサロンの4つの機能
①限定コンテンツや有料コンテンツの配信
②マッチング・出会いの場
③ゆるやかな企業体(仕事がもらえる)
④ギルド型の相互扶助
(p.21)
上記「参加者が得られる4つのメリット」のメリット2、4から
わかるように、情報メディアとして機能していることが推測されます。
情報が増えすぎた昨今、同じ目的のもとに集まったコミュニティ内で、
情報交換することで、効率よく情報が集まってくると考えられます。
また、単に何かを知る、学ぶといっただけでなく、
メリット3や機能②③④のように、「居場所」「仕事のチャンスを得る場」
といった側面があることも注目に値するでしょう。
これからオンラインサロンを作ろう・始めようという人には、
「どのようなコミュニティを作ればいいのか?」
という疑問が当然生まれますが、
その疑問へのヒントとして著者は4タイプのコミュニティに分類しています。
①私塾型
専門家であるサロンオーナーの知識やノウハウを塾のように会員が学ぶサロンです。
私塾型のサロンを展開するなら、以下の2つの資質が必要になります。
・専門家として人に教えられることがある
・オーナーであるあなたのスキルを知りたい人がいる②キュレーター型
キュレーター型のサロンを展開するのであれば、
あるジャンルやテーマに沿った情報の目利きや整理ができることが必要です。
オーナーには以下のような資質が求められます。
・そのジャンルのヘビーユーザーである
・そのジャンルの物事の良し悪しをわかりやすく伝えられる
・そのジャンルに関する最新の情報が集まってくる③交流会型
交流会型とは、オーナーがつくる場に参加者が集まり、
情報交換したり、参加者同士のマッチングを主な目的としたサロンです。
このような価値を生み出すオーナーには、以下のような資質が必要です。
・人が集まる場所を企画するのが大好き
・「あなたが主催なら参加する」という人がいる
・そのテーマに関心のある人同士が集まる環境がなく、交流の場を作ると喜ばれる④共同プロジェクト型
サロンオーナーが”教える”というものではなく、オーナーがサロン外から持ってきた
企画やおもしろそうなことを、オーナーとサロン会員が”一緒に取り組む”というものです。
このようなオーナーには、以下のような資質が必要です。
・オーナーのあなたが1人では抱えきれないプロジェクトを持って、
それを一緒に取り組んでくれる仲間が欲しい
・完璧な仕事ではなくても、一緒に取り組む会員を応援したり励ましあいながら、
一緒に成長していきたいと思える
・あなたの仕事ぶりや人間性を好いてくれて、「一緒になにかしたい」と思ってくれる人がいる
(p.26~27)
このフレームワークは、潜在的なユーザーの需要を探るとき、
アイデア発想ツールやブレインストーミングのフックとして使えるでしょう。
オンラインサロンを大きくしていく上でユニークなのは、
広告で告知をしていく必要が必ずしもないという点です。
オンラインサロンはSNS上に立脚していることがほとんどのため、
参加者の満足度が高ければ、自然に口コミが生まれ、新たなメンバーを連れてきてくれます。
またコミュニティ運営といっても「いくら儲かるのか」
という経済的な視点がなければ、持続は現実的ではありません。
会費によって利益をシミュレーションするのはもちろんのこと、
本書の後半では、会費以外でも売上を立てるいくつかのアイデアを紹介しています。
●会員のサポートや面談の回数を増やす(p.163)
これはいわゆる個別サポートやコンサルティングです。
会員のスキルの商品化を手伝う、などが考えられます。
●学習コンテンツのボリュームを増やす(p.163)
サロンの基本提供内容に加えて、新たなコンテンツを
パッケージ商品として提供するアイデアです。
●サロン会員への外部の商品やサービスを紹介し、紹介料を得る(アフィリエイト)(p.167)
例えば「YouTuberになる」といった目的のコミュニティであれば、
動画編集ソフトやツール、機材等が考えられます。
「おすすめ機材一覧」といった紹介方法であれば、
ごく自然に買ってもらい、コミュニティ運営資金の足しにできます。
…といったように、コミュニティ運営上の実務を広く網羅している書籍です。
コミュニティを作る上では、一定の求心力や
高いコミュニケーション能力、ビジネスセンスの必要性を感じましたが、
上手な方にとっては安定した収益源を作れる事業だと思うので、
興味のある方は挑戦してみてください。